国際人権大学院大学府民会議

寄稿　～府民会議に寄せて～

倉田薫　池田市長

　1996(平成８)年のいわゆる「地対協意見具申」以降、同和教育、同和啓発については、同和問題を人権問題の本質から捉えた上で、人権教育、人権啓発として発展的に再構築することが、今後の同和行政の推進方向として進められてきました。1995(平成７)年からは「人権教育のための国連10年」が始まり、本市のみならず府内各自治体において「人権教育のための国連10年推進本部」が設置されるなど、国をあげた人権教育の重要性がますます強く認識されるようになっております。このような中で、人権に関する高度な専門的知識を備えたリーダーの育成と、世界的な視野に立った人権問題に関する最先端の研究の推進を目的とする「国際人権大学院大学」実現への取り組みが、本日、多くの皆様方のご賛同のもと発足されたことは誠に喜ばしい限りであり、地域における人権教育を推進すべき立場にある者としても、今後の発展に大いに期待を寄せるものであります。本市では、1997(平成９)年に「人権を大切にするまちづくりの推進に関する条例」を施行しましたが、私は、憲法に定める基本的人権が守られるよう、あらゆる問題、あらゆる人権の擁護について行政が積極的に取り組んでいくことが大切だと考えております。本日の、民間の皆様と行政が一体となって進められる府民会議の結成は、あらゆる場における人権教育を進める上でも誠に意義深いものであり、時代を先取りした他に類のない「国際人権大学院大学」が早期に実を結ばれることを願ってやみません。

松波めぐみ　アムネスティ・インターナショナル日本支部＊

　ＮＧＯの特徴を簡単に私なりに考えますと、３点ほど思いつきます。一つは、現場を持っていることです。伝統的にはアジアや国外での人権侵害、貧困や差別の問題に取り組むことから始まった訳ですが、今や国境の枠を超えて活動しております。その中には具体的な援助から国内でのアドボカシーや啓発、ネットワークづくりなど様々な活動を含みますが、やはり私どもの一番の強みは現場を持っていることだと思います。次に、市民の力で非力ながら活動に取り組む中で、私どもも様々な経験を蓄積しています。必要に迫られて様々な勉強もし、各分野、マイノリティの問題、差別の問題に関して専門知識も蓄えております。また、市民に開かれた誰でも参加できる、興味があることだけが参加資格であるというＮＧＯの性格は変わっていないと思います。今述べましたＮＧＯの特徴を活かして、国際人権大学院大学の実現に向けて、ＮＧＯの経験や持っているものを活かしていただけたら非常にうれしいと思いますし、また、私たちも是非このような機会を利用して学びを深めたいと思います。このような画期的なすばらしい機関ができようとしている、そのための努力をともにさせていただく中で、ネットワークを拡げ、経験を交流し、人権を守るための活動と一人ひとりの市民が学ぶ機会を拡大していくことができたらと思います。私ごとながら、私は現在大学院に所属しておりますが、以前は民間企業で働きながらボランティアでアムネスティに関わっておりました。自分の経験からも社会人が学ぶ意義、また学びたいと思いながらそのような機会が得られないでいる人たちの多さというのを身にしみて実感しております。このような大学院が実現することを本当に夢のように心から願っておりますし、そのための努力にＮＧＯの声も加えていただきたいと思います。

　＊アムネスティの日本支部は、2000年９月18日に社団法人化されました。

（C)　国際人権大学院大学（夜間）の実現をめざす大阪府民会議

寄稿 ～府民会議に寄せて～

倉田薫 池田市長

松波めぐみ アムネスティ・インターナショナル日本支部＊

寄稿　～府民会議に寄せて～

倉田薫　池田市長

松波めぐみ　アムネスティ・インターナショナル日本支部＊