2009年度海外調査報告
テーマ 大学院における人権プログラム・ヒアリング調査(イギリス)について
講 師 李 嘉永さん(部落解放・人権研究所)
【おわりに】
本稿で紹介したように、英国においては、人権活動家の専門性を高めるために、実践志向の修士コースがいくつか開設されている。そして、これらのコースを修了した学生たちが、国際人権保障や人道援助の現場で活躍している。このような人材育成のサイクルに、大学が重要な役割を果たしていることは、日本における大学院教育にも、ひとつの示唆があるだろう。
しかしながら、これらの事例に共通して言えることは、これらのコースを修了した後に、学生たちが活躍できる出口が豊富に存在していることである。日本においては、人権活動が、ともするとボランティアによって担われるべきという風潮が強く、専門性を備えた人材が活躍できる場は、決して多くはない。この点をどうするか。日本における人権大学院大学の設立を展望する際に、はずせない論点となるのではないだろうか。
この原稿は、海外調査報告をもとに執筆された「月刊ヒューマンライツ」
2009年9月,10月号の原稿を、報告者のご了解を得て転載したものです。
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