国際人権大学院大学(夜間)の実現をめざす大阪府民会議
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1.最近の我が国の人権の状況
  ・社会福祉基礎構造改革の狙い
2.我が国社会の深刻化する問題
  ・欧州における状況と「ソーシャル・インクルージョン」の理念
  ・CANの活動
  ・ポスト地対財特法への活用
3.環境政策の変化
  ・環境・社会・経済の融合
4.国際人権大学院大学(夜間)への期待

4.国際人権大学院大学(夜間)への期待

 最後のしめくくりをさせていただきたいと思います。今日のテーマは、国際人権大学院大学をつくるというための会でございます。私自身こういう問題に対して、たいへん期待をいたしております。
 先程紹介させていただきましたけれども、現在国立看護大学校で、講義を一部担当していますが、この国立看護大学校は、私自身国立病院部長をしている時に、その企画と言いますか、その計画を考えて実施してきた訳でございます。
 しかし、この大学校に対して強い反対論がありました。むしろ賛成してくれる人は、ほとんどいなかったという状況でございました。反対論の第一は、当時の大蔵省や厚生省の内部では、こんな事をやるお金や人はないと、大学を造るにはざっと見て100億程度のお金はいるだろう、また教職員も50人くらいはいるだろうと思っていましたので、こんなお金を出せる時代ではないと、当時、既に財政の引き締めが行われていました。

 2番目の反対論は、一部の方から出た意見ですが、病院というのは医者がトップで、当時は看護婦と言いましたが、看護婦というのはいわば医者の命令に従って動いていればいい、だから簡単に言えば、看護婦というのは大学なんて行く必要はない、医者がオールマイティなんだと、だから大学なんかつくってそういった知識なんかいらない、あくまで医者の命令に従ってやればいいんだということをおっしゃられる方がいまして、これには正直言ってびっくりしました。

 3番目にあった意見としては、当時の文部省から出た意見ですが、厚生省が持つのはけしからんと、あくまで大学というのは文部省が一元的にやらなくちゃいけないんだと、これも一種のセクショナリズムだろうと思いますが、こういう反対論がございました。これは既に防衛大学校なんかがありますから、十分論破できる事だったと思います。

 4番目に反対論があったのは、これは1番悩ましい反対論ですけれども、国立看護大学校の独自性は何があるのかと、既に各県で看護大学を持っていると、各県1校ずつ持っているそういう中で新しい使命は何なのか、果たして学生は集まるのかどうかという疑念がございました。何とか信念で国立看護大学校をつくり、2001年4月に開校に持っていき、非常に立派な大学校になりました。約100億円程度投入いたしまして、学校のスタッフも全国から優秀な教授陣を揃えて、世界の中でも一番立派な大学になったと思っています。受験生もだいたい東大の看護学科、千葉大の看護学部とほぼ同列のレベルになったというふうに思っています。そして何よりも素晴らしいのは、「大学校長」である竹尾大学校長の大学校の理念というのが非常に素晴らしいんですね。人間の存在のあり方をおさえるとか、深く共感する能力を持つとか、また多様性を考えるという事が言われています。そして一言で言えば、人間の存在を十分理解したヒューマンケアを目指すという大学校に育っています。この看護大学校によって看護の力っていうのはこれからずいぶん上がってくるのではないかというふうに思います。

炭谷茂さん 一方福祉についても、やはり現在福祉の水準があがってきたのも、福祉系の大学が100校以上も出てきた、存在してきたという事が大きいのではないのかと思います。
 この様な考え方から、人権を専門にする大学といったものはないので、これから人権が日本において本当に向上していく為には、このような高等な学術機関が望まれるのだと思います。その場合ぜひ十分気を付けていただきたいのは、総論部分というよりも各論部分で、冒頭にお話ししたような、人権というのはあくまで個別的・具体的な考察が必要なんだという事と、単なる総論的な研究だけではなくて具体的な効果が出る、人権を向上させる為の臨床的・実践的な成果を、是非こういった場で出していただきたいと思います。時間がございませんので抽象的な表現になって恐縮でございますけれども、そのような大学院ができたら、日本における人権の向上にもすいぶん寄与するのではないかというふうに思っております。
 どうもご静聴ありがとうございました。

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