国際人権大学院大学(夜間)の実現をめざす大阪府民会議
トップへニュースへ調査研究へ組織概要へ会員募集へプレ講座へリンクへメールを送る
 

 

1.はじめに
2.香川大学大学院地域マネジメント研究科設立の経緯
3.香川大学大学院地域マネジメント研究科の概要
4.香川大学大学院地域マネジメント研究科の特徴
5.学生の状況
6.やりがいと今後の課題
7.国際人権大学院大学設立に向けての期待

【4.香川大学大学院地域マネジメント研究科の特徴】

 私達の大学院全体の特徴に触れさせていただくと、一つは、先ほどのようなカリキュラム編成になっておりますので教員も専門領域が多様になっており、また、その経歴も母体となりました経済学部から移籍したものに加え地域企業の経営者の方ですとか、全国企業のマーケティング責任者だった方とか、あるいは全国的なシンクタンクで調査研究に携わっていた方とか、中央官庁で地域政策に携わっていた方等々からなっております。さらに、講師陣は先ほど申し上げましたそれぞれの講義内容に即して、地域のあらゆる方々にご協力をいただこうというような形でお願いをしています。
 それから、2点目の特徴として、さっき申し上げましたように、ケーススタディとかフィールドワークの充実があるかと思います。できる限りフィールドワークを授業の中に取り組もうと工夫をしているのですが、大半が今働き盛りという社会人ですので、なかなかこの時間が取れないことが苦労の種です。けれども、土曜日の午後とか日曜日を使って、例えば本四架橋の橋げたの上に登る。あるいは、これからの時代の地域の活性化というのはいわゆる経済とか利益とかいう観点だけではなく文化に基づく視点が大事だと考えて、ちょうどその格好の素材として直島という小さい島があり、そこをベネッセコーポレーションが現代アートを中心に文化に基づく地域振興に取り組みつつありますので、そこへ行ってベネッセ会長の話を聞く。あるいは、現代演劇が実は四国では非常に認識が薄いものですから、逆にその演出家の方とワークショップを入れたりといった形で可能な限りのフィールドワークも取り入れて授業を進めています。
 3点目は、理論と実務の双方向からの教育。それは、専門職大学院の言うならば枠組みでもあります。ですから、理論と実務のどちらに偏ることなくその両方の様相を持った、あるいはその双方向からの教育内容を展開しているというのが挙げられると思います。
教員から学生にあてたメッセージを見てみると、ある先生は、「大学は学問に真剣に取り組む場であるということを基本的に忘れないでほしい。ただ、自分たちのような学者教員が最新の学問成果を携えて実務の場へ近づき、そして受講生の人たちは実務への知恵を求めて学問へ近づく。そのときにはじめてコラボレーション、学問と実務のコラボレーションが生まれるんだ」と、また、先ほど全国企業のマーケティング責任者と申しましたけれどもその方は、「資生堂における35年間の実務経験を参考に、成果に結びつく実践的なマーケティングマネージメントのあり方を身につけていただきたい」とメッセージを寄せておられます。
 実務家教員の方は実務的な能力を身につけてほしい、また、研究者教員の方は学問を提供したいということで、文字通り架橋がある。ただ、その両方の文化の違いはなかなかのものでして、その両方をそれぞれが理解をするため、毎月両方の先生が集まってFD研修会や勉強会をやっており、学生さんに理論と実務の架橋を教えるために教員が実務と理論の架橋を一生懸命につくっているという状況です。
 それから4点目に、これは総じて専門職大学院はどこもそうですけれども、少人数教育。もしかしたら、もったいないかもしれないと思われるような少人数教育が挙げられるだろうと思います。
 各学生さんに色々と助言を行う「アカデミックアドバイザー」という教員を張り付ける制度を設けて、入学してくる学生さんの問題意識とか、あるいはそのニーズに対応した履修指導ができる体制になっています。そういう体制を組んでいますので、学生さんから実にいろいろな要望とか意見とか、あるいは不満も聞ける機会となっており、それは私達にとって大変的確で、ですけどもなかなか厳しい指摘の場にもなっています。
 それから5点目に、これは一般的にビジネススクールでよく言われることですが、企業だけではなく行政とかNPOなど、実に様々に異なる背景を持った学生さんたちが来られており、その人的なネットワークづくりが進んでいること、これが特徴だと思います。もしかしたら学生さんたちは、教員対学生の関係よりも、その多様な背景からくる学生さん同士のつながりに大きな意義を見出しているような雰囲気が見て取れます。
 自分の企業あるいは組織にとって当たり前だと思ったことが友人の組織では全然違ったやり方であるとか、全然違った受け止め方をしているということに本当に驚くとよく言っています。
 それから、さらにもう一つ加えると、学生と地域との両方に開かれた組織であるということが特徴だと思っています。
学生に開かれたという意味は先ほど申し上げましたように、常に学生さんたちと向きあえるような組織になっているということです。地域に開かれたという意味は、研究科の中に「アドバイザリーボード」という学外の有識者の方から構成する委員会をつくって、私達の状況とか課題とかを説明し、色々なご意見とか示唆等を頂戴しています。これには、経済人の方、行政の担当者・責任者の方、マスコミの方がいらっしゃいます。
 また、そのアドバイザリーボードの方々が「授業参観をしてみよう」とおっしゃいまして、2月のずいぶんと寒い日でしたけれども、6時半から9時までずっと授業参観をしていただき、色々とご指摘をいただきました。やはり教員間とは違う視点というのがありまして、ずいぶん教えられる思いがしました。

前のページへ 次のページへ

 

 

トップ | ニュース | 調査研究 | 組織概要 | 会員募集 | プレ講座 | リンク


(C) 国際人権大学院大学(夜間)の実現をめざす大阪府民会議