【8.国際人権大学院大学(夜間)への期待】 最後に「国際人権大学院大学への期待」ですが、国際人権教育指導者の経験交流、人材育成及び教材開発などもしていただけると思いますが、これは大変大事なことだと思います。日本は人権に関する指導的な立場に立てる人が少なすぎるのです。人権だけではないのですが、様々なところで自立し、中心となってコーディネーション機能を営めるような人が少なすぎるという意味で、地域においてこういう人材を育成することは非常に大事なことだと私は思っております。 同時に二つ目、何といっても地域が、今後グローバライゼーションが数十年吹き荒れるであろうアメリカ一極集中支配に対してどう対応していくのかということを真剣に考えていただきたい。そういう戦略性を持ち得るし持つべき所であろうと思っています。 そして三つ目が、これだけ国際化が進んできている社会ですから、これを基礎に国際人権保障を意識した地域発展戦略を持っていただきたい。例えば食の問題はどうするのか、地産地消もするし、では自分たちの作っているものはどうするのだと。外国人労働者の問題はどうするのか、農村では10軒に1軒はアジア人花嫁です。だから、私は全国各地の農政当局に一体どうするのだと。全国どこの農業プランを見たって女性の労働力の活用、高齢者の労働力の活用、新規就農者の支援と書いてありますが、この女性というのはアジア人のことではないのです。 オランダからトマトが日本にたくさん入ってきていますが、これは旧植民地のインドネシアなどから来た人、いわば超安値労働力でもってこき使ってトマトをつくって日本に輸出してきているのです。アメリカのレタスなんかもそうです。それからアメリカのお米もそうでしょうけど、メキシコからの季節労働者、いわばイリーガルなマイグラントワーカー、不法就労者をこき使って安い賃金で作ったものを、日本に輸送する。石油が安いから簡単に競争力ができてしまう。フィリピンのアスパラガスなんかがみんなそうです。つまり、アメリカやオランダが安い労働力を使って農業生産物を作って日本に輸出するが、日本は外国人労働力を使うわけにはいかないということで高値になり負けている。これでいいのだろうか。実際にはよくないのです。したがって、いろんな意味で潜りなんです。その花嫁も含めて潜りの労働力の輸入が起きているわけで、ですからもっと真剣に農村社会も多文化共生、開かれた農村にしていくというふうに覚悟を決めて、きちんと問題を見つめていかないともう明日の農村はないよということを言っているのです。そういう農村にしろ、あるいは都会にしろ、やはり外国人労働力の問題はどうするのか、あるいは自分たちが作っている工業製品はどうするのかということも含めて地域発展戦略を国際的な人権保障を軸にして考えていかなければいけない、そんな時代なのではないかと思います。 そうすると、これはやはり地域において自治体がある程度役割を果たしている大学院みたいなところで真剣に考えていただいて、ここに社会人が集まってお互いに研究していくということも大いに大事であると思います。そういった意味で、国際人権大学院大学に、まさに食いだおれの町、大阪で、そろそろ食に関する人権についても頑張ってくれてもいいのではないかなと。秋田とか北海道とかという農業県ではなくて、大阪においてもっと食の問題をトータルに考えてくれてもいいのではないかなという意味も込めて、一つのケースとして食の人権に注目しましょうという提案をして私の報告に代えさせていただきたいと思います。長時間のご清聴どうもありがとうございました。 (文責:事務局)
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